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嫉恋

第16章 交錯する想い





花織も帰宅する為に荷物の準備を行っていた。本当は円堂に頼みたいことがあったのだが、彼が綱海たちと騒いでいる姿を見てまた翌日にしようと考える。今日は家に帰ってゆっくりしよう。だがその前に、花織にはやることがある。

「士郎くん」

花織はキャラバンを降り、一人俯いている吹雪を呼ぶ。吹雪は花織の声に顔を上げた。鞄の紐をぎゅっと握りしめ、まるで捨てられた子犬の様な目をしていた。花織はそんな吹雪の元へと歩み寄る。

「少し士郎くんと話したいんだ。付き合ってくれないかな」
「……僕は」

吹雪が花織から視線を逸らす。花織が自分を心配してきてくれたのはわかる。だがその心配は一体どこから来るものなのだろう、それを考えると胸が苦しくなった。彼女は決して自分を心配しているわけではない。アツヤが先日放った言葉が胸の中で吹雪の呼吸を妨げる。

「お願い、士郎くんの話が聞きたいの」

花織がぎゅっと吹雪の手を握る。吹雪は大きく目を見開いた、指先からほんのりと身体が温まり、ドクドクと心臓が脈を打つ。彼女の言葉は心から吹雪の本心を求めている様に思えた。その言葉選びは彼女の気遣いかもしれない。そう思っても吹雪は花織に求められた、という感覚を捨てられなかった。

「行こう、士郎くん」

笑い掛けてくれる花織の笑顔が太陽のように眩しく見えた。
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