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嫉恋

第15章 砕氷の時




今日の試合で吹雪は完全に心を壊してしまった。きっと未然に防げたはずなのに、花織がきちんと吹雪の心を理解できれば、彼は今日あんなことにはならなかったかもしれない。
今日、彼はデザームの"必要ない"という言葉で壊れた。

元々、花織は吹雪がチームで必要とされることを望んでいるのではないかと思っていた。吹雪"士郎"として、アツヤのフォワードとしての人格だけではなく、吹雪士郎としてチームに認められたいのではないかと。だからこそ彼のことを苗字でなく名前で呼んだのだ。自分はちゃんと吹雪士郎を心配しているのだ、と示したつもりだった。

吹雪は花織が自分の先に風丸を見ていることを悟っていた、それに気が付いたのは吹雪が崩壊してしまう数十分前、それまで花織は彼を苦しめていたのかもしれない。

彼はとうとうボールを蹴れなくなるほどに傷ついてしまったのだ。練習でゴール前にセンタリングされたボールを前に動くことができず、立ち尽くしてしまっていた。彼は言った、"チームのお荷物になっちゃったね"と。花織は吹雪に声を掛けることができなかった、自分が今まで吹雪を苦しめていたのだと思うと、彼にどんな顔をして声を掛ければいいのかがわからなかった。

「全部私のエゴなのかもしれない。吹雪くんの傍にいようとすることも、こうやって一郎太くんに連絡を取ろうとし続けるのも。皆にとっては迷惑でしかないのかな」

花織の手の中で携帯電話が揺れた。花織の目にジワリと涙が浮かぶ。花織のメールや電話は、風丸を今も追いつめているかもしれない。そう思うと心苦しくて堪らなかった。

「だったら、これからお前はどうする。何もしないつもりか?」
「わからない、どうしたらいいのか……」

豪炎寺が花織を見る。花織は腕の中に顔を埋め、目を伏せた。もごもごとこもった声で返答をする。すると豪炎寺が彼女に質問を投げかけた。

「……お前は吹雪が心配か?」
「……え?」

脈略の無い唐突な質問に花織は驚いて顔を上げた。豪炎寺を見ると彼は厳しい表情をして花織を見ている。花織は眉根を寄せて何も答えなかった。豪炎寺が再び同じ問いを繰り返す。

「吹雪が心配か?」
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