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嫉恋

第15章 砕氷の時




豪炎寺が花織の言葉を繰り返す。風丸や染岡たちがチームを去ることになってしまったことの顛末は円堂から聞いている。それを聞いていると花織にどうこう出来た話だとは思えなかった。だが、花織の言う何もできなかったとはいったい何なのだろう。

「うん。……豪炎寺くん、フットボールフロンティア決勝戦前の合宿で夜中に私と話した時のこと覚えてる?」
「ああ」
「悩んでる選手の力になりたい。悩んでいる選手がいたら力になって、一緒にその悩みを脱却できるようにする……。あの時、豪炎寺くんに宣言したから私そうしようと思った」

そんな話を確かにした、豪炎寺はあの時の記憶を思い返す。あの時花織は今まで自分がチームを振り回した分、チームに貢献したいと言った。悩める選手の為にマネージャーという立場からサポートをしたいと。

「でも私は、一郎太くんの悩みに気が付けなかった。誰よりも彼の傍にいたはずなのに、彼の心が追いつめられてキャラバンを去ってしまうのを止められなかった。鬼道さんは彼がきっと悩んでいることを私に隠してたんだって言ってたけど、それでも気づかないといけなかった」

花織はずっと気にしていることを口にする。そう、鬼道はああいって庇ってくれたが花織は自身に過失があったと思っている。花織が俯く。豪炎寺は黙って花織の独白を聞いていた。

「吹雪くんのこともそう。一郎太くんがチームを去ってから、私は特に彼の力になりたいと思ったの。一郎太くんと同じ悩みで栗松くんがキャラバンを降りてしまって、私吹雪くんは絶対にそこまで追い詰めさせないと決意した。……でも、吹雪くんにも」

花織はハッとした様に我に返った。こんなことをチームに戻ったばかりの彼に話すべき内容ではない。彼が黙って話を聞いてくれるものだから、ついつい心内を口にしてしまった。花織は立ち上がってズボンについた砂を払う。

「ごめんね、こんな話しちゃって……。もう戻ろう、明日も早いし」
「花織」

豪炎寺が座ったまま花織の腕を引っ張った。花織は豪炎寺を見る。彼は厳しい目をして花織を見上げていた。

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