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嫉恋

第15章 砕氷の時




「そうか。……俺も雷門に戻れて嬉しい。離れていてもずっとチームのことを考えていた」

彼女と同じように海を眺めていた豪炎寺は一瞬ちらりと花織の表情を見た。潮風が彼女の髪をサラサラと靡かせる。月明かりに照らされたその横顔はいつもの柔らかい笑顔を覆い隠すような寂しさがチラついている。どうして彼女はこんなに物寂しげなのだろうか、豪炎寺には円堂から聞いた話で思い当たることがあった。

「花織」
「なに?豪炎寺くん」
「円堂から今までのことを聞いた。どんな特訓をしてきたか、どこでどんな新しい仲間が加わったか、誰がチームから去ったか」

チームを去る、その言葉に花織の瞳が揺れたのを豪炎寺は見過ごさなかった。豪炎寺はどうして花織がここに座り込んでいるのか気になっていた。単純に眠れないのであれば以前のように彼女は散歩をするのではないか、そう思った。しかしこの美しい景色を見に来たのかもしれないという可能性もある。だがきっとそうではない理由を豪炎寺は悟っていた。


「風丸からの連絡はないのか」

答えは彼女の手の中にある携帯電話にあった。豪炎寺が来るまで、花織はずっと携帯の画面を見ていた。それだけではない、消灯前も彼女は人目に付かないところで何度もポケットの中に入っている携帯を気にしていた。豪炎寺の記憶ではもちろん学校だったから、という理由もあるが彼女が携帯電話を扱っている姿をほとんど見たことは無い。その花織がずっと携帯を手放さない理由、それは彼からの連絡を待っているからに違いない。

「……うん。円堂君から聞いた?……一郎太くんがキャラバンを降りてからもう一週間以上も経つんだよ。なのにまだ連絡がないの、電話は切られちゃうし、メールも返事はないし」
「……」

花織は強がって笑って見せながら言う。彼に今は休息が必要なのはわかっている。だから連絡を急くつもりはない、返事も無理に返してくれなくてもいい。でも何の返事もないのはそれはそれで心配だ。だから返事が欲しいとも思ってしまう。

「嫌われちゃったのかもしれないな……、私何もできなかったから。連絡されるのも迷惑だと思ってるのかもしれないね」
「何もできなかった?」
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