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嫉恋

第15章 砕氷の時




吹雪がピッチを出てから、試合は防戦一方になっていった。前線でボールがキープできず、すぐにボールを奪われて攻め込まれてしまうのだ。それによって徐々に選手たちは消耗させられていった。円堂が正義の鉄拳で辛くもゴールを守っているが、それもいつまでもつだろうか。

そんなときに唐突にGKのデザームがポジションチェンジを提案した。デザームはFWのゼルとポジションを代り、圧倒的な存在感で前線に現れた。デザームはイプシロンのどの選手よりも速く、そして強かった。そしてとうとう、デザームの放ったグングニルというシュートが正義の鉄拳を打ち破り、イプシロンが雷門から先取点をもぎ取った。

その後は何とかDFと協力して攻撃を凌いでいるが、いつゴールが再びこじ開けられるかはわからない。見ているだけでも辛い、花織は吹雪の手を握ったまま試合を見守る。私も一緒に戦いたい、見ているだけなんてやっぱり嫌だ。

円堂が進化させた正義の鉄拳でデザームのシュートからゴールを守る。ラインを越えたボールを誰かが止めた。

「……」

フードを目深にかぶった男はピッチへ踏み込む。そしてフードを取り去り、素顔を陽光の元へ晒す。逆立った白髪、精悍な顔立ち、待ち望んでいた救世主の姿がそこにはあった。

「豪炎寺!!」

円堂の歓喜に満ちた叫びがフィールドに響く。間違いない、そこに立っているのは雷門のエースストライカー豪炎寺修也の姿だ。数週間前、チームを去ってしまった彼の姿がそこにある。彼がいれば絶対大丈夫だという雰囲気、絶対的な存在感。

「待たせたな」
「いつもお前は遅いんだよ!」

頼もしく笑った豪炎寺に円堂が言う。花織は思わずくすりと笑ってしまった、それにしても豪炎寺が来ただけでこの安心感は何だろう。フィールドでは豪炎寺の帰還を喜ぶ声が響く。それを見ていると嬉しさと何とも言えない気持ちがこみ上げてくる。隣にいる吹雪が豪炎寺、という名前に僅かながらに反応を示したのに花織は気づいた。

「選手交代!!10番豪炎寺修也!」

監督が交代を叫ぶ。

豪炎寺はパワーアップして帰ってきた。ファイアトルネードで一点をもぎ取り、そして新技爆炎ストームでもう一点をもぎ取った。雷門のエースストライカーの帰還、これによって雷門はエイリア学園ファーストランク、イプシロンに初めて勝利を修めたのであった。
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