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嫉恋

第2章 想いのすべて




花織がベンチに戻るとちょうど前半が終了したところだった。選手たちがすでに休憩に入ろうとしている。秋たちはボトルやタオルを選手たちに配っていた。花織は救急箱の下についでにと持ってきたレジャーシートを敷き、救急箱をおくと秋たちの元へと向かった。

「ごめんね、手伝う!」
「あ、花織ちゃん。いいよ、どうしたの?随分急いでたみたいだけど……」

秋が手伝おうとする花織を制し、残りをすべて選手たちに配り終わった後に花織が急にベンチを離れた理由を尋ねた。花織はふう、と息をつくとベンチを離れた理由を秋に簡単に説明しようとした。

「後半の作戦を伝えるわ」

しかしそれは監督の声によって遮られる。選手たち全員の視線が監督に向けられた。前半が終わってようやく雷門中のサッカーが掴めてきたころだろう。そろそろ作戦指示が出るのかもしれない。花織はじっと監督に視線を送る。

「染岡くん、風丸くん、壁山くんはベンチに下がって。空いたスペースは残りのメンバーでカバーして。よろしくね」

ええっ、とチーム内で驚愕の声が上がった。名前を呼ばれた三人は納得がいかなかったようで、すぐさま声を上げる。

「なんで俺が下げられなきゃいけないんだ!!」
「監督の考えがわかりません!ただでさえ厳しい状況なのに……」
「俺がさっき転ばされたからッスか?」

花織は監督の言葉に顔を顰めたが、すぐに頭の中で思考を巡らせる。風丸を下げるのは花織も賛成だ、彼は左足に怪我をしているような気がするからだ。だが、染岡と壁山は……?そういえば今日はシュートが決まらなかったみたいだ。水道へ寄り道をしたとき、染岡が枠の外へボールを蹴ったのを花織は見た。

「勝つための作戦よ」

もしかして彼らも怪我をしているのだろうか。だが、そうだとしてもならばなぜ説明しない?

「待ってください、これでは戦えません」
「いいえ、これで戦うのよ」
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