第14章 喪失の余韻
ヒロトに連れられて花織は浜辺でも人目の付きにくい岩場へとやってきた。足を止めるとヒロトはじっと花織の顔を見つめる。その瞳はじっと花織を見透かすようだった、何を持って彼が花織を見つめているのか花織には分からない。花織は縋る様に首に掛かるペンダントを無意識に握り締めた。ヒロトが目を細める。
「それ、君の恋人からの贈り物かい?」
ヒロトが花織の手元を指差して尋ねた。花織は一瞬戸惑ったが首を静かに縦に振る。そうか、と一つ呟いたがヒロトはじっと花織を見つめ続けている。
「前に君は北海道で俺に話してくれたね。大切な人がサッカーをするからサッカーをするし、サッカーを見ることが好きだって」
確かに言った、花織はまた頷く。ヒロトは少し黙り込んだ。それでも花織から視線を外さずに花織を見据えている。波の音が遠く聞こえる。ヒロトは静かに核心を尋ねた。
「……君の恋人は雷門を去ってしまった。でも君は雷門に残り続けている。君の言っていた言葉を基にするなら君がここに居る理由は無いはずなのに」
夜風が二人の髪を揺らした。ヒロトは目を細めて花織に問いかける。
「それでも君はどうしてサッカーをするんだい?」
二人の間に沈黙が走る。ヒロトの言葉を花織は自身に問うた。私はどうしてサッカーをするのか、どうして風丸のいないこのチームに残り続けるのか。花織はふっと微笑を浮かべた。考えなくても答えは簡単な事だった。