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嫉恋

第14章 喪失の余韻




「こんな夜更けにひとりで居るのは感心しないな」

穏やかな、聞き覚えのある声が花織の背筋を伸ばした。花織は髪を揺らして振り返る。そこには赤い髪を下ろしたヒロトの姿があった。今日に会うのは二度目になる。花織は黙ってヒロトを見つめた。彼のことを敵だとは理解している。でも先日、風丸に対してメールを送る様にアドバイスをくれたのはヒロトだった。たったそれだけのことなのに花織は彼への印象を若干良くしていた。黙って話を聞くくらいには。

「ヒロトさん……」
「やあ、今日は見苦しいところをみせちゃったね」

まるで友達とでも話す様にヒロトは手を挙げる。花織は何も言わないでヒロトを凝視していた。以前のように話を聞けないほど嫌悪はしていないが、自分から声を掛けるほど話したい相手ではない。ヒロトは自分を見つめている花織にそっと歩み寄った。

「今日は、君に聞きたいことがあってきたんだ」
「聞きたいこと……?」

花織が首を傾げる。ヒロトがそう、と言いながら花織の腕を引っ張る。急に腕を引かれて花織はよろめいた。花織のペンダントが衝撃に揺れ、きらりと煌めく。ヒロトは彼女の胸元を飾るそれに一瞬視線を向けたが何も言わなかった。花織はヒロトの唐突な行動に文句を言いたげに彼を見た。

「ちょっと……」
「ごめんね、もう少し人目に付かないところに行こう。話しているのを誰かに見られても困るからね、俺も君もさ」
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