• テキストサイズ

嫉恋

第14章 喪失の余韻




「……一郎太くん」

大好きな人の名前を呼びながら花織は膝に顔を埋めた。四六時中一緒に居たのだ、夜は特に静かで寂しさを感じ、感傷的になってしまう。彼がいないことをより実感してしまって、止めどなく涙が溢れた。夜は誰もいないから人目を気にせずに涙を流すことができた。きっと鬼道ですら花織が夜にこんなに女々しいことをしているとは知らないだろう。

「……月島さん」

その時、顔を埋めて涙を流す花織に声を掛けた人物がいた。その声に覚えがあった花織はハッと顔を上げる。そこには先日、風丸が離脱するきっかけになったとも呼べるエイリア学園ザ・ジェネシスのキャプテンヒロトの姿があった。彼はいつもの髪を下ろした姿をして、心なしか心配そうに花織のことを見ているようだった。

「……何なんですか、一体」

花織はこんな人に涙は見せまいと涙を堪え、絞り出すような声で言った。ヒロトの顔を見ない様にして立ち上がり、顔を背けたまま冷たい声で彼に応対した。

「何をしに来たんですか。一体何を企んでこんなところへのこのこと……!」

花織の声は行き場の無い怒りに震えていた。花織はヒロトに対して嫌悪を感じていた。何しろ彼はエイリア学園の一員で、風丸の離脱の引き金を引いたジェネシスのキャプテンなのだから。現在彼に対する得体のしれぬ恐怖などなく、単純に花織はこんなところへやってきたヒロトへ怒りを感じていた。

「違うよ、何かを企んでここに来たわけじゃない。…………ただ、君と話をしたかったんだ」

戯言を言う、花織はそう思って顔を上げヒロトを睨んだ。地球を侵略しようと目論むエイリア学園のチーム。そんなヒロトがいったい何をいうのか、彼の言葉の白々しさに花織の怒りは増幅した。

「何を話すことがあるって言うんですか……!エイリア学園の者である貴方と!」

花織の目には未だ涙が溜まっていた。彼女の携帯を握った手はぶるぶると震えている。花織が自分をどう思っているのかヒロトは理解していた。それでもヒロトは花織に言葉を掛ける。花織の心を今最も揺さぶる言葉を。

「……君の恋人、雷門から離れてしまったみたいだね」

/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp