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嫉恋

第14章 喪失の余韻




「……」

グッと息が詰まったような感覚。花織の目の前にはいつもと変わらないグラウンドが広がっている。そこではチームの皆がいつもと変わらない様子で練習していて、マネージャーの皆もいつも通りに皆を応援している。

いつも通りの普通の光景なのに、その中には彼がいない。

「……花織さん?」

急に足を止めた花織を吹雪が振り返る。花織は立ち尽くしてグラウンドを見つめていた。無意識に彼女の瞳は自分の大好きな青い髪を探している。ふと、一瞬青を捕えたような気がしたが、それは錯覚で実際は浦部リカの長い髪だった。花織は空しくなって目を細める。

風に揺れる青い髪、頼もしい声、楽しそうな笑顔……、記憶の中にある彼の姿が目に映ってもこの場に彼はいない。彼のいるべきポジションがぽっかりと空いていることだけが、彼がいなくなったことを確かめる唯一の術だ。

でもその空白もいつか埋まってしまう。それを埋めるのは今までいたチームの誰か、新しく入ってくるチームの誰か、もしかすると花織になってしまうかもしれない。彼の居場所が一つ減ってしまうような感覚だ。彼が戻ってくればきっと彼の為に彼の居場所ができるのだろうけど、彼がいない今、彼の居場所は無くなってゆくばかりだ。彼がいなくたってイナズマキャラバンは前進し続けるのだから。

「……」

だから、練習を見たくなかったのだ。
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