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嫉恋

第14章 喪失の余韻




あの後、瞳子が花織と吹雪を迎えに来て三人で病院を後にした。誰もほとんど何も話さなかった。花織は吹雪の荷物を持って歩く。隣に立つ吹雪を見て彼の様子を窺った。風丸がキャラバンを去って4日目、今日の夕方には福岡を出発する。行き先はまだ決まっていない。

この4日間、風丸がいなくなってからまだそれだけの時間しか経っていないのが嘘のようだった。もう随分と長い間彼と会っていない気がする。今まで転校してきてからほとんど毎日顔を合わせていたから、彼がいないことが花織にとって不自然なことだった。

あれから何度か風丸に電話をしてみた。しかし彼はわざと電話を切ってしまうようだ。少なくとも着信拒否はされていないようだが、きっと今は話したくないのだろう。彼の心もきっと疲れ切っているのだから休ませるべきだ。……それでも、サッカーのことを抜きにして声だけでも聴きたいと思ってしまう。それは我儘なのだろうか。

「……花織さん」
「、どうしたの?士郎くん」

突然呼ばれた名前に慌てて吹雪を見た。彼が戻ってくるまで、彼の居場所を守るためにまずは吹雪の心を守ろうと決めた。自分が吹雪のためにできることなら何でもしようと思った。風丸は吹雪と一緒にいてほしくないというかもしれない。でも、それでも風丸にとって吹雪は大切なチームメイト、花織にとっても大切なチームメイトだ。放っておけはしない。

「ううん。……ずっと険しい顔で黙ってるから、何かあったの?」
「あ……、ううん、考え事してただけ。心配させちゃってごめんね」

花織は眉根を下げて吹雪に謝る。一歩一歩踏みしめる足取りが重い。花織は陽花戸中学が見えてくると段々と自分が陰鬱な気分になるのを感じていた。だが足を止めることなく進み続け、花織と吹雪、そして瞳子はグラウンドへと足を踏み入れる。花織はそこで足を止めてしまった。

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