• テキストサイズ

嫉恋

第1章 脅威の侵略者




半田の問いかけに風丸が答えた。花織は微かに髪を揺らす。花織は彼のこういうところが好きだった。何に置いても目的を見据えて、邁進する彼が。以前からずっと、大好きだった。盛り上がるバスの中で花織は風丸にちらと視線を寄せる。

現在、花織と風丸は別れたばかりの恋人という気まずい関係を築いている。

今年の四月、中学二年生になった花織は帝国学園から雷門中学へ転校してきた。転校早々風丸と出会い、陸上を通してふたりは恋に落ちた。だが、ふたりの恋は中々成就しなかった。花織にはずっと前から好きな人がいたからだ。元帝国学園のキャプテン、鬼道有人。たとえ酷く傷つけられても、花織はずっと鬼道に恋をしていた。

その後"鬼道を忘れさせる"という約束の元、風丸と花織は一度は恋人関係を結び、誰もが羨むような親密な仲となった。しかしふたりの関係は上手くいかなかった。花織の気持ちの揺れや花織を傷つけた鬼道の本心、風丸の花織を思う気持ち、様々な要因からふたりはすれ違ってしまったのだ。結局、ふたりは風丸から別れを告げる形で破局してしまった。

だが友人たちの力を借り、ふたりは徐々に歩み寄り始めていた。互いの想いは変わらないのだ。今は友人ほどの話もできないが、この後にふたりで話をするのだという約束がある。花織は早く学校に戻り、彼と話をしたいと思っていた。なにより花織は、彼におめでとうと声を掛けたかった。

「そういえば、一之瀬も土門もなんで急に飛び出して行ったんだ?」
「ん?一之瀬と土門は木戸川清修に行ったんだ。木戸川の西垣から電話貰っててさ」
「そうそう、それでふたりとも報告に行ってくるって」

唐突に風丸が思い出したように呟く。風丸の質問には円堂と秋が答えた。木戸川清修にいる西垣守は一之瀬と土門のアメリカ時代からの友人同士で、おめでとうコールを貰ったからとふたりは優勝報告へ向かったのだった。ついでに言うと現在豪炎寺も、妹の友香の見舞いへ向かっている。

「そうか。……俺も陸上部のみんなに報告しないとな」

顔をあげ、納得したように風丸が呟いた。そしてふと、彼は花織の方へ視線を寄せる。花織は風丸の方へ視線を向けていた為、彼とばっちり目が合った。
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp