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嫉恋

第13章 絶望に染まる




間を繋ごうとリカが花織に気遣う言葉を掛けた。リカは情に厚く、案外気遣いのできる少女だ。しかし花織はというとそんなリカの慰めの言葉に"うん"という生返事しか返さない。どこか上の空で話を聞いているのかいないのか……。とにかく彼女は平静ではないのだということは一之瀬にも土門にもわかった。

歩いて十五分程度で陽花戸中学に戻ってきた。雨が降っている為練習は中止になっており、皆キャラバンに戻ってきた。花織はリカに引きずられ、キャラバンの中へと戻る。キャラバンの中にはほとんどの選手がそろっていた。

「花織ちゃん!」

全身ずぶ濡れの花織を見て秋が彼女に駆け寄る。春奈も心配そうにタオルを持って花織に駆け寄ってくる。秋がそれを受け取ると花織の髪にタオルを掛けた。花織は心ここに在らずのようで、まるでガラス玉のような瞳をしている。

「大丈夫?戻ってこないから心配してたんだよ。円堂君もずっとあのままだし……」
「円堂君……?」

ボンヤリとした口調で花織が秋の言葉に反応する。花織は自分が立ち去った後にチームで何があったかを知らなかった。あの後円堂が練習を拒否したことを。秋が簡潔に経緯を花織に話す。花織はぴくりと眉を動かして目を伏せた。

あの監督のもとで、風丸を無下に扱った監督のもとでプレーもマネジメントもしたくない、出て行こうとも思った。でも今自分がそんな決断をすればキャプテンの円堂がきっとそれを気に病んでしまう。彼は風丸の幼馴染だ、彼の離脱にサッカーができなくなるほど心を痛めてくれている。そんな人を益々苦しめるようなことはできない。

「そっか……。ごめんね、迷惑かけて。……私はもう大丈夫だから」

消え入りそうな声で言い、花織は弱々しく微笑む。大丈夫でないことなど目に見えていた。目に見えて彼女は風丸の喪失に傷ついていた。だがチームの全員が彼女に対して何を言うこともできなくて口籠る。花織はタオルを首に掛けて席に置きっぱなしにしていた自分の荷物を手に取った。

「……私、着替えてくるね」
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