第13章 絶望に染まる
花織がどこかへ走り去ってしまってから、監督の声で練習が再開されることが決まった。しかし、キャプテンの円堂が完全に戦意喪失してしまい、練習から離脱してしまっていた。チームは練習に集中できていなかった。練習に参加していてもミスばかりで、パスなども全くつながらない。
次第に空は曇りはじめ、雨が降り出した。
花織は知りもしないことなのだが、偶然にも花織は風丸が円堂に別れを告げた場所へときていた。暗い海が目の前に広がっている。花織はそこに座り込んでぼうっと暗い水たまりを眺めていた。雨はざあざあと激しく花織に降り注ぐ、花織の涙を覆い隠す様に。
「一郎太くん……」
大好きな恋人の名前を呼ぶ。頼りがいのある優しい彼、いつでも花織の傍にいて花織を支えてくれた。なのに花織は風丸を支えることができなかった。花織は風丸の悩みを察して助けることができなかったのだ。自分は幾度となく、彼に助けられてきたのに。
頭があまり働かない、花織はびしょ濡れになった髪をぐしゃりと握った。風丸がいなくなった。その現実がまだ夢の中にあるようで実感できない。こうやってここで彼を待っていれば彼が戻ってきてくれるような、仕方ないなと言いながら自分の手を引いてくれるようなそんな気がしていた。もう彼はこの地にはとっくにいないというのに。
花織は自分を責めたかった。責めようと思ってもまだ何も、全てが漠然としすぎて何も思い浮かばない。一つ一つ自分の過失を整理すればいいのだろうが、そのはけ口が無い。花織はまだ混乱しているのだ、それだけ風丸の離脱は彼女にとってショッキングだった。先ほど監督に怒鳴った内容も今になっては意識しないと思いだせない。