• テキストサイズ

嫉恋

第13章 絶望に染まる





風丸の叫びに花織が反論する。だが風丸の叫びとはいう物の、彼の声色からは怒りを感じるわけではなかった。吐き捨てるように、淡々と事実を述べているだけなのにそんな雰囲気を感じる。風丸は感情を露わにはしていない。ただ絶望感がそこにあるだけだ。

「……俺はずっと吹雪のスピードだって羨ましかった。アイツに勝ちたいと、ずっと思って特訓に特訓を重ねた。でも適わない。……これが俺の限界だからだ」
「一郎太くん……」

虚ろな彼の目が怖かった。花織は何も言えず、ただ彼の名前を呼ぶことしかできずに、彼の言葉を聞く。

「それにいつになったら終わるんだ?今日また、新しいチームが現れて。アイツらを倒してもまた新しいチームが現れるかもしれない。……もう限界だよ」

風丸は花織をすり抜けて陽花戸の校舎の出入り口へと向かう。花織は風丸に追い縋った。風丸の左手を握って彼を引き留める。もう彼を止める言葉が出てこない。彼は花織の言葉を聞いてくれない。でも花織は風丸がいなくなることが嫌だった。

「嫌だよ。私、一郎太くんがいないと……。だから、……お願い」

言っているうちに花織の目からは涙が零れだした。彼の手を離して涙を拭う。行かないで、とただそればかりを訴えた。そんな花織に風丸はすっと手を伸ばす。花織は風丸と唐突に差し出された手を見比べた。

「だったら、花織も一緒に降りてくれ。……俺がいないとダメなら」

どきん、と花織の心臓が音を立てた。風丸は虚ろな目で花織を見据えている。いつもの風丸の目ではない。花織は首を横に振った。

「できないよ。……だって私は、エイリア学園を倒したい。それに」

花織が口籠る。言いたいことは一杯あった。エイリア学園を倒して、風丸と一緒に楽しいサッカーをしたい。一緒にデートをしたい。全部理由は風丸に起因する。なのに風丸は花織の思いにもよらない発言をした。

「吹雪がいるからか?」
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp