第13章 絶望に染まる
「どういう、こと……?」
「もう戦えない……、勝てる気がしないんだ。……俺はキャラバンを降りる」
花織はハッと息を呑む。離脱、その二文字が花織の中を過った。花織は困惑していた、何故どうして、一郎太くんが。花織は風丸が何故そんなことを言いだしたのか分からずにいた。それは彼が自分の気持ちを花織にひた隠しにしてきたせいだった。
「勝てる気がしないって……。何があったの?」
「…………」
「勝てる気がしないのは練習でどうにでもなるよ!……お願い、そんなこと言わないで。私で良ければいつでも練習相手になるよ。だから一緒に頑張ろうよ、戦えないなんて言わないで!!」
花織は風丸の腕に縋り付き、必死にそう訴えた。風丸は花織がまるで円堂のようだと思った。円堂のように前向きな言葉を掛けてくる。今の風丸にとっては眩しすぎて苦しいだけの言葉だった。そして今はもう何も響かない言葉だ。
花織は内心凄く混乱していた。風丸の内情を知らなかったから彼がこれほど悩んでいたなんて知らなかった。彼のことをよくよく思い返してみる。そして思い出した、染岡が離脱した後彼が悩んでいた末に吐き出した言葉を。
"でも今のままじゃ勝てる気がしない。……もっともっと力が欲しいんだ、奴らに勝てるだけの力が"
あの時に解決したと思い込んでいた。だから、彼がこんなに悩んでいたことを、花織は悟れなかった。
「無理に決まってるだろ……!!」
風丸が静かな声を一変させて低く叫んだ。花織は驚いて風丸の顔を見る。風丸の瞳はいつになく暗い色をしていた。彼のこんな表情を、花織は見たことがなかった。
「奴らのスピード、見ただろ?俺、あれを見た時追いつけないって思った。もう無理なんだ、俺は奴らに勝てない、勝てるなんて思えない」
「そんな……、そんなことないよ!今までだってレベルアップしてきたのに」