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嫉恋

第12章 心の均衡


***

吹雪はあの後、救急車によって陽花戸中学の近くの病院へ搬送された。幸いにも彼は軽い脳震盪で済んだようだ。花織は傷だらけの吹雪の顔を見つめる。今日の彼はいつにも増しておかしかった。いつになく病んだふうであった。

彼のベッドをチームメイト達が囲む。彼らはどうすることもできずにベッドに横たわる吹雪を見つめていた。

「俺たちがいけなかったでヤンス。俺たちが止められなかったから、吹雪さん無理をして……」

栗松が申し訳なさそうに俯いた。確かにディフェンス陣は相手を止められなかった。だがそれは出場選手のほとんどが同じだ。奴らのボールをカットできたのは唯一鬼道だけだった。それに吹雪がおかしかったのは今日始まったことではない、と花織は思う。その考えを肯定するかのように春奈が戸惑いながら声を上げた。

「あの……っ、吹雪先輩本当にボールを取りに行っただけなんでしょうか?」
「どういう事?」
「私、少し怖かったんです。あの時の先輩の顔……」

夏未が春奈の言葉に疑問を感じたようで質問をする。春奈は少し口籠った後それに答えた。チーム内でどよめきが生じる。確かに、という声がいくつか上がった。花織も彼の表情を思い返す。春奈の言うとおり、見たことの無い表情をしていた。何とも言い表せない、ただ恐ろしい形相だったことは覚えている。

「それにイプシロンと戦った時も。ボールを持ったら感じが変わるのは何度かありましたけど、あの時は妙に気持ちが高ぶってたような」

自分の感じていた近頃の吹雪の異変を語り始めた。円堂がハッとした様に声を上げる。花織は円堂に視線を向けた。何か思うことがあるらしい。

「実は俺、イプシロン戦の後に吹雪に聞かれたんだ。"僕、変じゃなかった?"って……。でも俺、何か上手く答えられなくて」

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