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嫉恋

第12章 心の均衡





昨晩の出来事を花織は誰にも打ち明けることができなかった。

朝、円堂から今日は友達のチームと試合をすることになったという話が挙がった。正午に陽花戸グラウンドで、それは昨日花織にヒロトと名乗った少年が告げた約束そのままだった。恐らく昨日彼が言っていたことは本当の事なのだろう。そして円堂はそれがエイリア学園の者だとは全く気付いていない。

花織は何も言えなかった、ずっと。皆が試合の準備を始めても打ち明けることができなかった。円堂に、鬼道に……もしくは風丸に告げることを考えはした。でも言えなかった、言えば昨日の出来事をすべて話すことになる。きっと風丸は花織を酷く心配するに違いない。恐らくこれからエイリアとの戦いになる。そんなときに彼の心を動揺させたくない。

「一郎太くん……」
「花織?」

花織はぎゅうっと風丸の腕にしがみ付いて顔を伏せた。風丸が滅多に見ない彼女の仕草に照れるよりも先に不安を抱いた。彼女の身体が微かに震えている。見るからにただ事ではない。風丸は自分の腕に抱きついている花織にどうしたんだ、と声を掛ける。

「何かあったのか、花織。どうしてそんなに震えてるんだ?」

風丸が花織に問いかける。だが花織は首を振るだけで何も言わない。さらに風丸が質問を続けようとすると春奈が時計を見ながら大きな声で12時になりましたと叫んだ。花織がビクッ、と身を震わせる。

刹那、陽花戸中の全域に暗雲が立ち込めはじめた。雷門イレブンは瞬時に何が起こるかを悟る。この不穏な空気、エイリア学園が現れる時に立ち込める黒い気……。エイリア学園が現れるのだ。花織はひしと風丸に縋る。風丸は花織の表情をちらと見つつ、困惑しているようだった。
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