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嫉恋

第12章 心の均衡





「何を……っ」

花織は自分の顔に触れている少年の手首を掴む。大切な青い髪の彼のことが頭を過った。彼だけには妙な真似はさせない。そう思って少年を睨んだ。少年はふふ、とまた楽しそうに笑う。そして花織の首に両手を這わせ、軽くその細く白い首を締め上げた。

「……う、く」

花織は息のできない苦しさに目を伏せた。このままでは、ともがいてみるがびくともしない。花織は段々と思考が薄れゆくのを感じる。息苦しさに彼女の目じりから涙が零れた。このままでは殺されてしまう、とそう思った。

だが少年は花織の首からぱっと手を離す。花織はやっと得られた酸素にせき込み、その場に蹲った。少年は花織の傍に背を屈める。

「冗談だよ、サッカー以外では何もしないさ。…………それに明日になればわかるよ。もう手遅れかもしれないけどね」
「……貴方は、一体……っ」

花織は立ち去ろうとした少年の左腕を掴む。目には生理的に溢れた涙を浮かべて少年を睨み付けている。図らずも少年はその彼女の表情に動揺した。だがそんな動揺は包み隠して少年は笑う。

「名前を名乗ってなかったね。俺はヒロトっていうんだ、よろしく。……またね、月島さん」

花織の目じりにたまった涙を拭ってヒロトと名乗った少年は立ち去っていく。花織は今の彼とのやりとりにしばらく呆然としたまま動くことができなかった。とにかく明日、本当に今の少年、ヒロトがエイリア学園のメンバーなのか、先ほどの言葉が本当なのかを確認するまではこの事実を誰にも告げることはできないと花織は思った。

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