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嫉恋

第12章 心の均衡




「こんばんは、月島さん」

聞き覚えのある声、ぞわっと花織は肌が粟立つのを感じた。勢いよく声の主を振り返る。整った顔立ちに赤い髪、北海道そして京都で出会った不思議な、そして不審な少年だ。花織は驚き、思わず後ずさる。唐突に現れたこの人物に対して花織は明らかな恐怖を感じた。

「何で、貴方が……」

ここは福岡だ。北海道からも京都からもかなり距離が離れているはず。それなのにここに彼がいるというのはどう考えてもおかしい。やはりストーカーか、でもなぜ。雷門中をストーカーして意味があるだろうか。雷門イレブンをストーカーすることで意義があるといえるのは雷門中のファンか、それとも……。

「……っ!!」

花織は少年の正体について一つの疑惑に行き着いた。そしてさっと表情を青ざめさせる。少年は張り付けた笑顔で花織に歩み寄りながら話し始めた。

「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。僕は円堂君の友達なんだから、君とも友達ともいえるんじゃないかな。ね、月島さん」
「……貴方、本当にキャプテンの友達なんですか?」

花織がじりじりと後ろに下がりながら少年に問いかける。少年は花織との距離を詰めながらそれに答えた。

「友達だよ。……さっき俺たちのチームと試合する約束もしたしね。明日の12時、ここのグラウンドで」

とん、と花織の背中が校舎の壁に当たった。もうこれ以上下がれない。花織は辺りを見回した、人は誰もいない。障害物はないから何かあっても逃げられそうではある。
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