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嫉恋

第11章 不穏な空気




風丸はこっそりとふたりの様子を窺う。何故こんなところに二人はいるのだろう。そういえば、今日のハーフタイムもふたりの姿が無かった。もしかしてこんなふうに密会していたのか?しかしそもそも何故、風丸に隠れてコソコソ密会をする必要がある?もしかして自分の知らぬところでふたりは親密な仲になっているのではないだろうか、とそんな考えが風丸の頭を過った。風丸は吹雪が花織に対して他とは違う、特別な想いを持っていることは知っていた。

でも花織は昨日の朝にも、風丸に改めて好きだと言ってくれたはずなのに。

もしかして今日の試合結果のせいだろうか、と風丸はひとりありもしない考えを思う。今日の試合、活躍していたのは吹雪だった。心なしか彼女の視線が吹雪の方を向いていたような気がする。だから愛想を尽かされたのか。

すっと花織の手が吹雪の手に重ねられるのが見えた。風丸は眉間に皺を寄せ、険しい表情をした。このまま黙って見ていることはできなかった。だが、もしも二人には風丸の知らない何かがあってずかずかと踏み込むことになるのは怖かった。だから彼は、たった今ここに来た体を装った。

「花織」

風丸は平静を装って自分の彼女の名前を呼ぶ。すると花織はハッとして自分の方を見た。ふっと一瞬のうちに表情が変わったのは気のせいではないはずだ。風丸は花織の方へと歩み寄ると何気なく二人に尋ねた。

「どうしたんだよ、こんなところで。何かあったのか?」
「え、えっと……」

ちら、と花織は吹雪を振り返った。彼女には彼女の考えがあった。吹雪の悩みを自分の恋人で吹雪のチームメイトであるとはいえ、風丸に打ち明けてもいいものだろうか。吹雪はとても深刻に悩んでいる様に思える。もしかして人に言ってほしくはないことなのかもしれない。

「な、何でもないよ。……トイレに来たらばったり吹雪くんと会って、少し話してただけだから」
「……そうか」

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