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嫉恋

第11章 不穏な空気




「フォワードもディフェンスも、ちゃんとやらなくちゃ」

花織はフッと顔を顰めた。チームの作戦が、吹雪にとって負担になっているのではないかと考える。後半も吹雪はディフェンススタートで、攻撃のチャンスが来れば即座に攻撃に切り替えるというスタンスで行くことに決まっていた。瞳子の作戦だ、鬼道が先ほど吹雪に負担が大きいのではと苦言を呈していた。吹雪はその時"僕は大丈夫だから"と言っていたが、やはり負担が大きいのではないかと花織は訝しむ。一度監督に抗議してみるべきかもしれない。

「……完璧になるんだ」

キュッと蛇口を捻る音がする。それと同時に足音がこちらへ近づいてくる気がした。花織は自身どうしてかわからないが、慌てて吹雪に見つからないよう女子トイレの中へと駆けこんだ。盗み聞きをしていたことに悪い気がしたのか、それともこの間の一件のせいで気まずいのか自分にもわからないが。花織に気づかず廊下を歩いていく吹雪の横顔を見る。鬼気迫る、ピリピリとした表情をしていた。とても大丈夫そうには思えなかった。

△▼△

一方その頃、風丸は突然姿の見えなくなった花織を探していた。いつもハーフタイムは一緒に話をしたり、後半に向けてのアドバイスを風丸にくれるのだが、どこにも姿が見当たらない。後半はもうすぐ始まってしまうというのに。

「あれ?吹雪は?」

近くにいた円堂がきょろきょろとあたりを見回しながら呟く。その言葉に秋がそういえば見ていない、と一緒になって吹雪の姿を探し始めた。風丸はふっと眉間に皺を寄せる。

花織の姿がない、そして吹雪の姿も。

もしかして、と自分にとって不愉快な想像が沸き起こるのを彼は押さえることができなかった。きっとそんなはずはないのに。
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