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嫉恋

第11章 不穏な空気




リカがぎゅーっと一之瀬の腕を抱き寄せながら言う。その言葉にハッとさせられたのは花織ではなく風丸だった。表情にはそれを一切出さなかったが、胸の内でドキリとする。真帝国学園の不動の言葉が頭を過った。そうだ、ちゃんと彼女が自分のものであると知らしめなければ、彼女にとって一番でなければ、横から彼女を奪い取られてしまうかもしれない。

「そんな心配はいらない、……花織のことは俺が離さないから」
「えっ?」

風丸のほか三人が驚きの声を上げる。中でも花織はかあっと顔が熱くなるのを感じた、明らかに自分に対する好意を彼が口にしたからだ。花織は嬉しくなってにやける頬を押さえる。リカはきゃあっと歓声を上げて花織の背中をバンバン叩いた。

「めっちゃええ男やん、花織!!アンタ幸せもんやなあ、こないに彼氏に思われて!!ウチもダーリンにいつか言って貰いたいわあ」

ちらちらとリカが一之瀬に視線を送る。一之瀬はハハハ……、と力なく笑っていた。風丸はそんな一之瀬に同情の視線を送る。しかし花織もリカも女子トークでそんなやりとりには気が付いていないようだった。

「せや!今度ダブルデートせえへん?一緒にデートスポット巡るんや!」
「あ、それ楽しそうだね!」
「せやろーっ!今度一緒に行こうな!」

きゃあきゃあと女子二人は盛り上がる。男子二人はそんなふたりを見ながら苦笑を漏らした。一之瀬の方は完全に困りきった笑いだろうが、風丸は違った。花織がこんなふうに楽しそうに騒ぐのは珍しい。話している内容こそ苦笑が漏れるが、心の中では少し微笑ましい気もしていた。

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