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嫉恋

第11章 不穏な空気




「い、一郎太くん!」

緊張で声が上ずった、花織は自分の顔に熱が集まるのを感じながら俯く。風丸は花織の声で花織の姿を認識する。何も言わず、彼は花織の前に歩いてきた。じっと花織のことを見つめているのが視線で感じられた。

「急に呼び出したりしてごめん……。私、昨日の事、ちゃんと謝りたくて」

俯きながら花織が話す。俯いているせいで彼がどんな表情をしているのか分からなかった。それが余計に彼女の不安を煽る。怒っていたらどうしよう、そう思うだけで胸がぎゅっと締め付けられるように痛くなって息苦しい。息を吐くように彼女は自分の気持ちを紡ぎだす。

「昨日、一郎太くんが他の女の子にデレデレしてるところを見て凄く腹が立ったの。ナニワランドでデートした時、私の為にペンダントを手に入れてくれて似合ってるって言ってくれて凄く嬉しかったのに……。一郎太くんが他の女の子に顔を赤らめてるのを見るだけで、手を握られてるのを見るだけで苦しくなった。あの子に一郎太くんを取られてしまうんじゃないかって怖くもなった」

今まで自分が散々彼にしてきた仕打ちと変わらないから不安だった。自分の気持ちは鬼道と風丸の間で自分が分からなくなるほど揺れた。だからきっとそれは風丸の中でも例外ではないのだろうと思った。自分よりも魅力的なあの子が現れて、彼を奪い去られてしまうような気が彼女の中にしていた。

「だから一郎太くんの気を引こうと思ってワザと冷たくしたり、鬼道さんと一緒に居たの。初めは仕返しのつもりだった。自分がどんな気持ちになったか、一郎太くんに示したかった。頭に血が上ってたから。……でも」
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