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嫉恋

第11章 不穏な空気


***

花織の自主練習は日付が変わるころまで続いた。終わった頃には全身に疲労感があり、足はクタクタだった。花織は備え付けのシャワー室で汗を流し、新しいジャージに着替える。こんなに遅い時間まで練習をする気はなかったのだが、つい熱が入ってしまった。

「もう、こんな時間……」

時計で時間を確認しながら花織は髪の毛を整えた。早く就寝しないと明日に響いてしまう。急いで片づけを終え、テントに戻ろうと足を速める。ふとその時、彼女の目にあるものが止まった。

「あれ……?」

この練習場には主に三つのタイプの部屋がある。一つは先ほどまで花織が使用していたドリブル、パス、フェイントなどの練習ができる部屋。もう一つは円堂が使っていたゴールキーパーの練習ができる部屋。そして今、花織の前にあるのはシュート練習のできる部屋だ。この部屋からこんな時間にも関わらず、明かりが漏れている。

誰か残って練習しているのだろうか。

花織は開いている扉の隙間から中を覗き込んだ。中には一人、息を荒げて練習する選手の姿があった。―――吹雪だ、と花織は思う。彼の銀髪とトレードマークの白いマフラーがここからでも見える。そういえば今日の練習でも彼はずっとここに籠っていなかっただろうか。

遠目に見ているだけなのに、凄い気迫を感じる。いや、気迫というよりも執念のようなものが感じられた。そういえば吹雪は漫遊寺でのイプシロンとの戦いでキーパー、デザームにエターナルブリザードを止められたことが酷く悔しいようだと秋が言っていた。

だがこんな時間まで練習をしていたのでは身体に触る。今まで練習をしていた花織の言えたことではないが、マネージャーとして選手の無茶は嗜めるべきだ。特に吹雪のフォワードとしての能力は打倒エイリアには絶対に必要な戦力なのだから。

恐る恐る部屋の扉を手動で開く。吹雪は花織が部屋に入ったことにも気づかずにはボールを蹴っていた。花織はぎゅっとこぶしを握る。いつもの吹雪と違って話しかけにくいような雰囲気があった。

「ふ、吹雪くん……」

そうっと弱々しく花織が吹雪を呼ぶ。だが吹雪は気づいていないようだ。ブツブツと何かを呟きながらボールをセットし直している。

「吹雪くん!」
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