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嫉恋

第10章 戦士の休息




先ほどのマントの件も本当に鬼道の気持ちを考えるなら残酷な事だと思った。でも花織はどうしても鬼道には甘えてしまうのだ。ずっと、帝国にいたころは彼のことを尊敬し、頼りにしていた部分があったからかもしれない。

「まあ、お前と風丸が喧嘩をしたままでは俺も心配だからな。花織」

鬼道が花織の手をぐいと引き寄せる。花織は驚き、目を丸くした。鬼道は花織の耳元に顔を寄せると低く優しい声で花織に囁き掛ける。

「お前が付けているペンダント、良く似合っている。……風丸に貰ったんだろう?」

本当に鬼道は花織のことをよく見ている。彼女は風丸から貰ったペンダントを周りからは見えない様に服の中に隠していたのだが、それすらも目敏く見つけたようだ。ナニワランドに到着する前には明らかに無かったはずのペンダント。ギャルズと試合をするまでは嬉しそうにそれを眺めていたことを鬼道は知っていた。

「安心しろ、嫉妬なんかしなくても風丸はお前の事しか見えていないだろう」

花織は鬼道の言葉に顔を赤くする、そんな彼女の表情に鬼道は寂しそうな色を浮かべた。言葉なしにでもわかる彼女の肯定が悲しかった。もう完全に彼女の心は自分にない。唯風丸のみを見据えて心の底から思っている。頼られてこそいるものの、それは異性に対するそれではない。まるで師と弟子、その位割り切っているように思えてしまう。鬼道は花織の髪を優しく撫でる、花織はされるがままにしていた。性を抜きにした信頼関係がそこにある。

そんな二人のやりとりを風丸は明らかに苛立った様子で睨みつけていた。
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