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嫉恋

第10章 戦士の休息




「やっぱり……、鬼道さんにはお見通しなんですね。私の事」
「ああ。お前が試合中から何に腹を立てていたのかくらいはわかる。お前の嫉妬は可愛いかもしれないが、風丸の嫉妬なんて見れたもんじゃないだろう。ほどほどにしておけ」

鬼道が彼女から受け取ったマントを羽織り、紐を結ぶ。花織はしゅん、とした様子でだって、と鬼道を見た。彼女はいつも大人っぽく、一線引いたような場所から物事を見ることが多いのだが、恋愛ごとになると結構子供っぽいところもみられるようだと鬼道は思う。

「一郎太くん、私が何に対して怒ってるのか全然わからないみたいで……。もちろん、私があんなことにヤキモチ妬く方がおかしいですけど……。でも嫌だったんです」
「お前の言い分も分かる。お前を怒らせたことに関してはアイツが悪くないとは言えない。だが、ちゃんと何が嫌だったのか打ち明けておけ。でないとまた余計な喧嘩をすることになるぞ。……もっとも俺はそれでも構わないが、お前と話す時間ができるというのも悪くない」

にやりと不敵な笑みを浮かべて鬼道が花織を見つめる。鬼道は、花織を今日も今日とて想い続けている。花織の気持ちを汲むことは頭の回転の速い鬼道なら容易いことなのだ。たとえ自分が所望した友達扱いを彼女から受けようとも、未だに胸のうちでは花織をいつか自分の元に引き込もうとは考えている。

「き、鬼道さん……」

花織は困ったような顔をして鬼道の名前を呼んだ。鬼道が自分をどう思っているのかを分かっていて、それでいて友達同士という付き合いをするのは何とも難しい。
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