第10章 戦士の休息
御堂の行動はいい。風丸が魅力的な男子であることなど、彼女である花織には分かりきっていることだ。だが風丸の反応はどうだ。花織はずっと風丸の表情を見ているから知っている。見るからに動揺して照れているのだ、他の女子の行動で。
何なの、アレ……。
ぐっと奥歯を噛みしめる。今まで風丸が他の女子に鼻の下を伸ばすところを見たことが無かったからこそ、モヤモヤとした。もちろん花織は自分が言えた義理ではない、今まで自分の方がよっぽど酷いことをしてきたとわかっているのだが、それとこれとは話が別だ。自分の彼氏のあんなにデレっとした様子を見てヤキモチを焼かずにいられるだろうか。
だが、ギャルズの女の子たちに手玉に取られているのは風丸だけではないようだ。土門も鬼道も栗松もそして同じ女子である塔子も皆ギャルズに踊らされている。赤面しているのは風丸だけだが。
「先輩……」
「完全に相手のペースね」
春奈と秋が不安げに言葉を交わしている。その言葉の通りだ、完全に彼女たちに遊ばれている。花織は風丸を引きずり出して自分が試合に出たいくらいの気持であった。明らかにあの御堂という女の子は風丸をからかって遊んでいる。そして彼もそれにいちいち照れているからどうしようもない。花織が段々と風丸に対して苛立ちを募らせていた時だった。
「プリマドンナ!」
御堂玲華の必殺技、プリマドンナが炸裂する。御堂は風丸の手を取りフィールド上をくるくると踊り舞った。花織は握っていたペンを取り落す。顔を赤らめ、膝をついている自分の恋人に対して怒りが募って堪らなかった。雷門のメンバーも今の技には少し引いているようであった。
……何なの、デレデレしちゃって。
先ほど、ふたりでデートしていた時の嬉しい気持ちが徐々に萎んでいくのが分かった。花織は初めて風丸に対して怒りを感じていた。怒りというよりもヤキモチではある。自分に風丸の所作の様な非が無かったとは言わない、決して言えないが……。それでもあんなに風丸の前で、公衆の面前でほかの異性にデレデレしたことなどない。
「……っ!!」
風丸を抜いた御堂に鬼道がスライディングをしてボールをカットする。それに安堵するの束の間、一瞬の後にギャルズのシュートが決まり雷門は一点をリードされた状態で前半を終えた。