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嫉恋

第10章 戦士の休息




風丸はボールを持ち替え、下手投げにボールを放った。ボールは放物線を描いて的の数センチ前、台座の上でバウンドする。外した、と誰もが思った。しかしボールは的の上に当たり、的を倒してテンテンと台座脇に落ちて行った。……成功、である。

「よし!」
「おおおおおっ!兄ちゃんおめでとう!成功やで!!」

からんからん、とお姉さんがベルを鳴らす。周囲からもぱらぱらと拍手が湧いた。花織も安堵した様にホッと息をつく。お姉さんはごそごそと新しいペンダントを取り出してきて風丸に手渡した。

「兄ちゃん、ほら彼女さんにつけてやり。兄ちゃんがゲットしたんやからな」
「え、あ、はい。……花織」

風丸は箱からペンダントを取り出すと花織の傍に歩み寄る。そして花織の背後からペンダントを回す。金具が留めにくいのか、風丸の指が何度も彼女の首筋に当たった。花織は心臓がいつになく音を立てるのを感じながら風丸の手が離れるのを待つ。ようやくそれが終わると花織は風丸を振りかえった。

「一郎太くん……」
「可愛いよ、花織。凄く似合ってる」

先ほどからずっと言おうと決めていたのかもしれない。風丸は花織を見るや否やすぐにそう言った。どきん、と花織の心臓が大きく脈打つ。顔を再び真っ赤に染めて俯いた。だがすぐに顔を上げて彼女は満面の笑みを浮かべる。

「ありがとう、一郎太くん。私……、宝物にするから」

花織がペンダントに手を触れ風丸に言う。恋人から貰った初めてのプレゼント、花織はそう思うだけで、いや風丸が自分の為にゲームをしてくれたというだけで目頭が熱くなる思いだった。涙を堪えて風丸に笑い掛ける。きらりと彼女の首に飾られたペンダントが陽光を受けて煌めいた。

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