第10章 戦士の休息
「ルールはお兄さんが持っとるボールをあの的に当てて、的が倒れたら賞品ゲットや!簡単やろ?でも中々難しいんやで。まあ、やってみたらわかると思うけど」
第一球、風丸は普通にボールを投げてみる。だがボールは空を切り、後ろの壁に当たった。外れである。風丸は眉を顰めた。思ったよりも難易度が高そうであった。何しろ的は指人形程度の大きさであるし、台座の上でぐるぐるとまわっている。ボールは少し軽めなのか、空気抵抗を受けやすく失速してタイミングがずれてしまう。
「こういうの、円堂は得意なんだがな……」
困り顔でボールを投げる。二球目、三球目も僅かに的を逸れてあたりはしなかった。花織は不安げに風丸の横顔をみつめていた。別にゲームがクリアできないことに対しては何も思いはしないのだが、できなければきっと風丸は気にしてしまうだろう。
「くそっ……」
四球目を勢いよく投げる。そのボールは指人形を掠めたが、的を少しずらしただけで倒すには至らない。ああ、とギャラリーから声が上がる。いつの間にかゲームコーナーのスタッフやお客さんに注目を浴び始めていた。
「あーっ、惜しいなあ」
「……一郎太くん」
花織の不安げな声、風丸はちらりと花織を見た。ここで失敗したら彼女に失望されるかもしれない。そんな不安が彼の胸をよぎる。彼は的に視線を戻し、どこを狙えば良いかを真剣に考えた。的は台座の上でぐるぐるとまわっている。……ふとその時、風丸は一つの案を思いついた。だがあと一球でこれを試すのは何となく心もとない気がした。だが、先ほどまでの方法では絶対にボールは的に当たらない。考えても仕方がないと風丸は意を決する。