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嫉恋

第9章 精神の崩落




古株さんが染岡の足に触れながら言った。彼の足は真っ赤に腫れ上がっている。花織は顔を顰めた、あの足でシュートを何本も打っていればそれは酷い激痛が足に走っただろうに。

どうして気が付けなかったんだろう……。花織は眉を顰めた。私はマネージャーのはずなのに、彼が怪我をしたということは知っていたのに。鬼道の事ばかりが気に掛かっていて、失念してしまっていた。

「本当に大丈夫ですから」

足を診てくれている古株さんに染岡が言う。とても本当の事には思えなかった。

「強がったところで何の得もありゃせんぞ」

だが古株さんは簡単にその無理を見抜き、染岡を諭す。染岡は口籠った。

「イプシロン戦は一週間後なんです。それまでに染岡は……」
「一週間やそこらで治るもんかい」

鬼道の問いかけに古株さんは怒ったような口調で言った。確かに素人目に見ても、一週間で治るとは思えない怪我だ。それほどに腫れ方が異常だ。だが染岡は首を振った。

「治す!こんな怪我、一週間で治して見せる!治んなくても次のイプシロン戦、前半だけでもやらせてくれよ!折角完璧になったワイバーンブリザードはどうなるんだよ!なあ、吹雪!」
「ごめんね……、気づけなかった僕のせいだ」

懇願するように染岡が叫ぶ。吹雪に同意を求めたが吹雪は悲しげに眉を寄せ、謝罪の言葉を口にした。

「染岡くん、貴方にはチームを離れてもらいます」

そこへ監督の無慈悲な宣告が割り入った。選手たちはやってきた監督の方へ視線を向ける。花織は顔を顰めた、が今回は監督の意見に賛成だった。彼には少し安静にする時間が必要だ。一刻も早く怪我を治すためにも。

「監督……、染岡は」

円堂が戸惑うように監督に言葉を求める。だがそれよりも早く花織の隣に居た風丸が叫んだ。

「本人がやると言ってるんです!やらせてやってもいいじゃないですか!今の俺たちに必要なのは、自分の身体がどうなろうが勝つという気迫です!」
「風丸……」

円堂が彼の名を呟く。花織も彼の名を微かに口にした。風丸はいつになく焦るというか、気を荒げていた。そもそも彼が、これほど声を荒げることが珍しい。
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