第9章 精神の崩落
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花織と鬼道は何を話しているのだろうか。そう思い、こんなことをしているのはやはり情けないだろうか。風丸は皆に適当な言葉を繕って誤魔化し、食事を抜けると花織と鬼道が話をしているであろうキャラバンの外に居た。ここからでは会話が聞こえるわけではないが、ただただ気に掛かってここまで来てしまったのである。
最近彼は自分でも心に余裕がなくなりつつあることを察知していた。サッカーの事でも花織の事でも自分でもおかしいと思うくらいに悩んでいる。せめてどちらかがなくなれば自分の心は安らぐのだろうか、そんなふうに思うがどちらも解決できるような気がしない。
"そんなんじゃ、いつか捨てられるだろうよ"
真帝国のキャプテン、不動がせせら笑いながら吐き捨てた言葉が、胸の中で渦巻いている。こんなに女々しい俺を知れば、きっと花織は俺を嫌うだろう。花織の告白を改めて受け入れた時、自分の独占欲を口にしたはいいものの、それを実践できるわけなどない。そんなことをすれば彼女に嫌われてしまいかねない。
本当は鬼道とは口すら聞いてほしくない。吹雪ともなるべく関わり合いになるのは避けてほしい。いや、チームメイトにもあまり馴れ馴れしく接されると言いようのないムカムカした感覚が思い浮かぶ。でもそれは無理にも等しい難題だ。何よりも彼女を尊重して、余裕を持っていなければ。
今回の件で俺は花織のことを守りきれなかった。それだけで頼りないと思われても仕方がない。唯でさえ、俺には力が足りないのだから。
吹雪の様なスピードも決定力も、鬼道の様なゲームメイク力もない。俺にできることは走ってボールを奪うことなのに最近はその仕事すらもできていない。いつ花織に愛想を尽かされてもおかしくないのではないだろうか。自分のほか、彼女を狙うチームメイト達は自分よりも明らかに実力ある者たちばかりなのだから。
そんな事ばかりを考える。力がないことが自分の環境の崩壊を意味するようで怖かった。これ以上、自分が不甲斐ない存在になってしまえば……。選手としても恋人としても用済みかもしれない。