• テキストサイズ

嫉恋

第8章 届かない場所




花織がずっと不安げに鬼道を見つめていた。……仕方のないことだと思う。試合前、花織の身に何があったのか、俺にはわからないのだから。今はこの試合に専念して、佐久間と源田の目を覚まさせる。それだけだ。

後半開始後、不可能に近かった源田に技を出させずにシュートを決めるということを吹雪と染岡がやってのけた。染岡がワイバーンクラッシュの体勢から吹雪にアシストをだし、エターナルブリザードで決めるというこの技は目金によってワイバーンブリザードと名付けられた。

だが、その直後不動が染岡の足目掛けてスライディングをかまし、彼は足を負傷してしまった。花織と秋は彼らの元へ駆けより、染岡の足の治療を行う。だが彼の足の怪我は今日の試合でプレーできるようなものではなかった。

「これ以上の試合は無理だわ」

秋が染岡の足に触れながら呟いた。円堂が目金に視線をやったが、彼もまた捻挫が治っていない。花織は胸に手を当て円堂に言葉を掛ける。自分も、彼らにとってみればきっと邪魔者であっただろう自分も彼らの目を覚ます役に立ちたいと思った。

「キャプテン、私が出ます!」
「よし、わかった」
「……っ、交代は無しだ!」

花織が交代を頼もうとしたが、染岡が円堂を遮って立ち上がる。立ち上がることにすら彼は支えを要するようだった。秋が心配そうに彼の脇を支える。だが彼は苦しげに円堂の肩を掴み、訴えかけた。

「月島とは交代しねえ……。役に立たないかもしれないが、ピッチに置いてくれ!影山なんかに負けたくねえんだ!……それに、アイツらの気持ちもわかるんだよ」
「染岡くん……」

染岡が苦しげに呟く、花織が心配そうに彼の名を呼んだ。そうすれば染岡は強がって花織に笑って見せた。頼もしいが、明らかに強がるその笑顔に花織は胸苦しい思いだった。
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp