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嫉恋

第8章 届かない場所




試合は染岡をピッチに置いたまま続行された。その後はほとんど動きはなかった。だが残り時間少なになって不動に守備を突破され、二度目の皇帝ペンギン一号が放たれる。それは鬼道のカバーによって決まることは無かったが、佐久間への身体のダメージは相当なものだった。

「何故わからない!?二度とサッカーができなくなるんだぞ!?」

鬼道が叫び佐久間の肩を掴んで訴えかける。佐久間は苦しげな表情を見せながらも、狂気に染まった笑みを浮かべ続けていた。そして鬼道に向けて話を始める。

「わからないだろうな、鬼道。俺はずっと羨ましかった……。力を持っているお前は先へ進んでいく。俺はどんなに努力してもお前に追いつけない。同じフィールドを走っているのに、俺にはお前の世界が見えないんだよ」

佐久間は鬼道を突き飛ばし、なおも続けた。

「だが、皇帝ペンギン一号があればお前に追いつける。いや追い越せる。お前にすら手の届かないレベルにたどり着けるんだ」

どくん、その話を近くで聞いていた風丸は自分の胸が大きく脈を打つのを感じた。痛いほど佐久間の言っていることが理解できた。俺だって、エイリア学園を倒せるレベルになれるのなら、吹雪を超え圧倒的に速い存在になれるのならどんな手段だって使うだろう。

――――力が欲しいんだ。

この頃感じている感覚、努力しても報われないのではないか。白恋で吹雪が加入した時からずっと思い悩んでいる。円堂は特訓すればどうにかなるといった、勝てないことなどないと。今まで俺はその言葉を盲信していた。でも今はその円堂の言葉が信じられない。そんな慰め、信じられないと思うようになっていた。

俺が佐久間や源田の立場だったとしても、同じことをしたかもしれない。

後半終了目前、三度目の皇帝ペンギン一号が放たれた。染岡の捨て身のカバーに寄って雷門のゴールは守られた。だがシュートを打った佐久間は、もはやその場に立っていることができなかった。全身の筋肉は悲鳴を上げ、激痛が彼の身体を蝕んだ。

彼は足元からピッチの上に崩れ落ち、もう自力で立ち上がることはできなかった。
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