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嫉恋

第8章 届かない場所


***

だが、そう一筋縄ではいかなかった。禁断の技を使うのは佐久間だけではなかったのだ。鬼道、一之瀬、染岡が放った皇帝ペンギン二号をゴールキーパー源田がビーストファングという技で受け止めた。そして彼も佐久間のようにボールを止めた直後に苦しみ始めたのだ。

雷門にとって苦しい試合だった。佐久間にはボールを渡さぬよう、細心の注意を払わねばならないし、シュートをしようにしても源田に技を出させるわけにはいかない。結局試合は動かないまま、前半が終了した。選手たちは明らかに消耗した様子の佐久間と源田に不安げな面持ちを隠せないでいた。

「二人を守るためにも試合を中止した方が……」

秋がぽつりとそう呟いた。花織はその言葉に振り返る。秋の言葉に賛成だった、これ以上試合を続けることで彼らの選手生命が断たれる危険がある。今は影山のせいで正常な判断ができていないのだろうが、正気に戻れば彼らはきっと苦しむだろう。

「そうだな。そうすれば禁断の技を使わせずに済む」
「試合中止は認めないわよ」

だがそうは問屋が降ろさなかった。監督はいつものように無表情に選手たちに告げる。

「後半は私の指示に従ってもらうわ。吹雪くんはフォワードに戻って。皆勝つためのプレーをしなさい」

瞳子の言葉に花織は顔を顰めた。何を言ってるのだろう、この人は。試合に勝たなければならないのだということはわかる。でもそんなことをすれば佐久間にボールが渡るリスクも、源田に向かってシュートを打ち、ビーストファングを使わせてしまうリスクも高くなる。

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