第8章 届かない場所
鬼道は憎々しげに潜水艦の指令室へ目を向ける。円堂がゴールから動くのを見て、風丸も鬼道の元へ駆け寄った。
「鬼道!禁断の技って……、どういう意味だ?それに二度と撃つなって」
きっとこのピッチにいる雷門の選手たち全員が感じている疑問だ。鬼道は眉間に皺をよせる。そして静かな声色で説明を始めた。
「皇帝ペンギン一号は影山零治が考案したシュート。恐ろしいほどの威力を持つ反面、全身の筋肉は悲鳴を上げ激痛が走る。身体に掛かる負担があまりにも大きい為、二度と使用しないよう禁断の技として封印された。……あの技を打つのは、一試合二回が限界。三回目は……」
「二度とサッカーができなくなるということか……」
そこまでするのか、風丸は顔を顰める。円堂が呟いた言葉が胸の中に木霊する。二度とサッカーができなくなる。そこまでして勝利を望むだろうか……、でも勝利を得たい気持ちはわかるような気がした。その時、円堂が腕を抑えて顔を顰める。鬼道が焦った様子で言葉を紡いだ。
「円堂!お前ももう一度まともに受けたら立っていられなくなる!」
「「!!」」
チーム内に衝撃が走る。その言葉はしっかりとベンチにいるマネージャーたちの元へも届いた。何ということだろう、使用者だけではなく相手にもダメージが行くのか。そんな、と花織の隣に居た秋が声を漏らす。花織も佐久間を見つめて拳を握った。そんなに勝利を得たいと思い詰めていたのか、しかも花織が見舞いに行ったあの頃からそんなふうに思っていたのだろうか。
「この試合の作戦が決まった。佐久間にボールを渡すな!」
この試合の作戦を瞳子より任されている鬼道が宣言する。チームメイトは鬼道の言葉に頷いた。