第8章 届かない場所
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先ほどの対面から数刻後、雷門中学と真帝国学園の試合が始まることとなった。木暮の加入のおかげで花織は選手として出場する必要はなく、ベンチでマネージャーとしての仕事をこなすことになった。しかし万が一のことを想定し、いつも通りの背番号17番の雷門ユニフォームを着用している。
「花織!……大丈夫だったか?」
心配そうに着替えから戻ってきた花織に風丸がすぐさま駆けより、声を掛けた。彼の表情は複雑そうでやや悲しげに花織を見つめている。
「うん。……平気、何もされてないよ」
「すまない、俺が不甲斐ないせいで……。花織をもう、あんな目に遭わせないって言ったのに」
申し訳なさそうに風丸が視線を花織から背けようとする。だが、その彼の視線が花織の膝を捕えた。彼女の膝に真新しい傷があった。流血はしていないようだが、それは止血された後の為のようで、その傷は痛々しく存在している。
「花織、足の怪我どうしたんだ?」
「え?……何でもないよ、ちょっと擦り剥いちゃって」
花織が笑って大丈夫、と風丸に言って見せる。この怪我は先ほど、不動に突き飛ばされ地面に膝をついたときに擦り剥いてしまったものだった。ジャージでなく制服を着用していたため膝が無防備になっており、こんな怪我をしてしまったのである。
「……本当か?本当に大丈夫なんだな?」
「うん。大丈夫だよ」
心なしか花織の元気がないようだ。風丸は目敏くそれを感じ取って歯痒い想いを感じる。花織をこんな目に遭わせた真帝国の者たちに対しての苛立ちもあったし、彼女を守りきれなかった自分の不甲斐なさも情けなくて堪らなかった。花織が何もなかったかのように振る舞うのも、自分の力の無さがありありと感じられるようで胸が痛くなった。