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嫉恋

第8章 届かない場所




「……俺たちのサッカーは負けたじゃないか!!」
「……!」

叫びと共に放たれたボールの軌道は完全に先ほどとは違うものだった。全員がそれに気づき、それぞれの反応を取った。鬼道も円堂も彼女の名を叫んで走り出す。不動の表情がにやりと歪められた。花織は唐突な出来事に身動きできず、一秒後には来るであろう衝撃を覚悟して固く目を瞑った。

「……っ!」

間一髪で円堂がパンチングでボールを弾く。ボールは遠く、あらぬ方向へ吹き飛ばされていった。その後すぐに鬼道が花織の元へ歩み寄り、花織の身体を支える。彼は大丈夫かと花織を心配する言葉を掛け、円堂の方へ視線を向ける。円堂はいつもとは違い、怒りを孕んだ目で佐久間と源田、そして不動を見据えた。

「影山に従うやつらに俺たちのサッカーなんて言わせない。俺は今までサッカーを楽しめばいいと思ってきた。勝ち負けはその結果だって」

花織が円堂を見上げる。円堂は言葉を続けた。

「だけど、今日は違う。お前たちの間違いを気付かせるためには戦って絶対に勝って見せる。みせてやるよ、本当の俺たちのサッカーを!!」

円堂がこぶしを突出し、声高に叫ぶ。佐久間たちの目を覚まさせるためには、実力で雷門が勝利を収めて見せ、影山の力など必要ないと分からせなければならないだろう。佐久間と源田、そして不動の三人は円堂の宣戦布告に笑みを浮かべる。

「今度はお前が敗北の屈辱を味わう番だ」

佐久間がそう言って踵を返す。源田も不動もそれに続いた。三人は潜水艦のさらに内部に向かって歩を進めていく。

「俺たちには秘策があるんだ」

一度だけ振り返って佐久間が吐き捨てた言葉に、花織の身体を支える鬼道が顔を顰めた。
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