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嫉恋

第8章 届かない場所




「佐久間……」
「敗北の屈辱は勝利の喜びで拭うしかないんだよ」

無感情な声色で佐久間が呟く。と同時に再び佐久間が勢いよく鬼道にボールを蹴りこんだ。先ほどよりも威力は無かったようだが、鬼道は顔を顰めて呻く。円堂が鬼道に言葉を掛けたが、鬼道は取り合う様子もなかった。

「これは俺とこいつらの問題だ……」
「そうそう、手は出さないほうがいいぜ」

鬼道が苦しげに吐き出した言葉に不動が笑いながら同調する。再び転がってきたボールを彼は佐久間に渡そうとした。花織は何とかそれを阻止しようと隙を見て不動の手を振り払い、ボールを奪おうと足を延ばした。

「……っ!!」

だが不動は華麗に花織を避け、佐久間にパスを送る。そして勢いそのままに花織の鳩尾に肘鉄を打ち込んだ。せき込み、花織が蹲ろうとすれば上腕をぐいと掴まれ邪魔するなっつってんだろ、と睨みつけられる。鬼道は一瞬花織の方へ気を取られていたようだが、それをしてしまうと佐久間たちの神経を逆撫でしかねない、と瞬時に思ったようで何も言わずに佐久間へ視線を戻した。


「どうしても影山から離れないのか?」
「そうだ、総帥だけが俺たちを強くしてくれるんだっ!!」

今度は源田の言葉と共に佐久間からボールが放たれる。鬼道は苦渋に満ちた表情で彼らを見据える。

「俺たちのサッカーは」
「俺たちのサッカー?」

鬼道の言葉をあざ笑うかのような声色で佐久間が鬼道の言葉を復唱した。それと同時に不動が花織を勢いよく突き飛ばす。花織は地面に膝をつき、倒れ込む。佐久間の視線がちらとそれを捕えた。

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