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嫉恋

第8章 届かない場所




まるで呪いの言葉だった。花織に激昂した時の様子とは比べ物にならないほど静かに、冷酷に鬼道に彼らは言葉を浴びせた。鬼道は俯いた、ゴーグルがあるため彼の表情の詳細は花織からは分からなかったが強くこぶしを握っているのが遠目からでも見て取れた。

「すまなかった」

鬼道が2人の前に歩み出て頭を下げた。円堂と花織が呟くように鬼道の名を呼ぶ。

「……はははっ!!あの帝国の鬼道が人に頭下げてるよ!!」

不動がケラケラと笑う。帝国学園サッカー部の元キャプテン鬼道有人。帝国学園に居た時には、学園中の人間から崇められる存在だった。花織も未だに敬称を付けて彼を呼んでいる。一般の生徒であれば様付けで彼を呼ぶものもいるほどの人物。その彼が人に頭を下げているというのがよほど面白いらしい。だが、鬼道は不動の挑発を完全に無視していた。

「すまなかった。お前たちの気持ちも考えず、自分だけの考えで行動してしまった。何度でも謝る、だから影山に従うのはやめてくれ」

鬼道の肩は震えている。円堂も花織もどうか佐久間たちが鬼道の話を聞き入れてくれるよう、祈る様な気持ちで成り行きを見守る。だが今の彼らに鬼道の気持ちは届かなかった。

「遅いんだよ!!」

佐久間が渾身の力で手に持っていたサッカーボールを鬼道に向かって蹴りこんだ。そのボールは鬼道に命中し、彼の身体は数メートル吹き飛ばされた。

「鬼道!」
「鬼道さん!」

円堂が鬼道の元へ駆け寄る。花織も彼の名を叫んで鬼道の元へ歩み寄ろうとしたが、それは不動によって阻まれてしまった。円堂は鬼道を助け起こそうとしたが、鬼道は助けはいらないとばかりに円堂の手を跳ね除ける。不動がこぼれたボールを佐久間にパスした。

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