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嫉恋

第8章 届かない場所


***

花織が不動に引きずられてやってきた場所は潜水艦内にあるサッカーグラウンドだった。その中央に円堂と鬼道の姿が見える。そしてその奥、どこか見覚えのあるふたりが彼らの前に立っていた。花織は目を凝らす、程なくして花織はそれがいったい誰であるかを悟った。

「……!」
「フン……、どうやら鬼道君の彼女も知り合いだったみたいだなあ」

彼らの傍に歩み寄って不動が制止する。花織は信じられないとばかりに彼らを凝視していた。円堂と鬼道の前に立ち塞がる二人、それは帝国学園サッカー部の参謀佐久間、そしてゴールキーパーの源田に間違いなかった。

――――どうしてよりによってこの二人が。

花織は左手で自らの口元を抑えた。誰より鬼道の傍にいた、帝国学園サッカー部の中心にいた彼らがこんなことをしているのだろうか。前に会った時、稲妻総合病院でも純粋に鬼道を応援していた彼らがどうして。

「何故だ……」

鬼道がわなわなと肩を震わせて呟いた。彼もまた花織と同じで目の前の現実が信じられない思いだった。佐久間と源田、どちらも自分にとって信頼のおける仲間だ。そのはずの彼らが今、冷たい目で自分を見据えている。

「何故だ!何故お前たちがアイツに従う!?」

鬼道は叫んだ。……洗脳されているのか?まず思ったのはそれだった。いくら何でも影山の汚さを身を以て知っている帝国イレブンの彼らが自分で望んでこんなところに、影山の配下にいるわけがないと思った。そうであってほしいと思った。だが、彼らの言葉は簡単に鬼道の願いを裏切った。

「強さだよ」

源田がはっきりと一言呟く。だがそれは、彼らが自分の意思で影山の元に着いたという説明に十分な言葉だった。

「強さ?強さだけを求めた結果が、あの影山のチームだったんじゃないのかよ!?」
「俺たちはそこから新たな一歩を踏み出したはずだろう」

円堂が源田の言葉に食って掛かった。それに鬼道が続く。絶対に勝てる試合しかしない、仮初の王者帝国学園。その歴史を打消し、正々堂々王者として君臨しようと誓った。そのはずだろうと鬼道は訴えた。だが源田も佐久間も冷め切った眼で鬼道を見据えていた。
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