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嫉恋

第8章 届かない場所




案内してやるよ、と勝手にキャラバンに乗り込んだ不動に続いて、外に出ていた選手たちはキャラバンに乗り込み始めた。いったい何なのかは知らないが、不動明王というこの少年は得体のしれなさから近づきたくないと花織は思っていた。何よりとても感じが悪い。なるべく不動と視線を合わせない様に、最近掛けるようになった風丸の隣に向かおうとしたその時だった。

「おい待てよ」

にゅっと横から伸びてきた手に右手首を鷲掴みにされる。驚いて目をむけば、関わりたくないと思っていたその人、不動明王が花織の腕を掴み、にやにやとこちらを見上げていた。不動の隣に掛けている鬼道とその後ろにいた風丸がバッと立ち上がる。

「お前、月島花織チャンだろ?鬼道クンのカノジョの」
「!?」

一体何を言い出したのかと思えば。花織も立ち上がった二人も、そして他の選手たちも驚いて不動の方へ視線を向けた。花織は首を振る、そして不動の手を自分から引きはがそうと腕に力を込めた。

「……っ、違います。だから手を離してください」
「おいおい、恍けたって無駄だぜ?ちゃんとこっちは偵察済みなんだからよ」

偵察済み、ということはやはり影山から流れた情報なのだろうか。花織はそんなことを思いながら腕を引きぬこうとしたがびくともしない。それどころかギリギリと花織の腕を握る手に力を込める。

「い……っ、離して!」

握りこむ力があまりにも強く、花織が痛みに顔を顰めた。花織の声に黙っていられなくなった風丸が後ろから、そして鬼道が隣から不動を怒鳴った。
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