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嫉恋

第8章 届かない場所




瞳子が見知らぬ少年の前に歩み出て淡々とそう言った。少年は不敵に笑う、何だかそれだけで少し不気味に思えてしまうのは彼の容姿のせいだろうか。決して元は悪くないだろうが、彼はモヒカンにさらにペイントという奇抜なヘアスタイルをしており、意地の悪そうな猫目が印象的だった。

「監督、偽のメールって?」
「そもそも、私たちを愛媛まで誘導した響木さんのメールが偽物だったのよ。もう確認済みよ」

だからといって影山が脱獄したことが嘘、というわけではないようだ。実際に真帝国学園が存在するから今目の前にこの少年がいるのだろう。花織はじっとその少年の表情を見ていた。気だるそうな雰囲気、イナズマキャラバンのメンバーには誰一人として掠らない。

「すぐわかる様な嘘を何故ついたの?」
「俺、不動明王ってんだけどさあ。俺の名前でメールしたら、ここまできたか?響木の名前を語ったからこそ、いろいろ調べて愛媛まで来る気になったんだろ。違うか?」

腕を組んで得意げに不動と名乗る少年は語った。瞳子はそうね、とそれを鼻で笑う。そして間髪を入れずに不動に目的を問うた。彼は不敵に笑いながら言葉を続ける。

「なあに、アンタらを新帝国学園にご招待してやろうってのさ。……アンタ、鬼道有人だろ」

少年は鬼道の姿を雷門イレブンの中から探し出し名を呼んだ。花織の隣に立っていた鬼道が怪訝そうな顔をする。不動は続けた。

「うちにはさあ、アンタにとってのスペシャルゲストがいるぜ?」
「スペシャルゲスト?」
「ああ、かつての帝国学園のお仲間だよ」

さらりと不動が言った言葉に鬼道をはじめとした選手たちに動揺が走った。帝国学園の選手たちは皆、影山の悪事をすべて知っているはず。影山の元に着くなど絶対に考えられない。花織はちらりと鬼道の方へ視線をやる、彼の拳が怒りに震えていた。

「貴様!誰がいるって言うんだ誰が!?」

鬼道が叫ぶ。雷門の選手たちがそれに続けて不動に向かって非難を浴びせかける中、花織も不動を睨み付けた。冗談にしてもたちが悪いと思ったからだ。刹那その男、不動と一瞬目が合う。不動は花織を視界に捕えて僅かに口元をにやりと歪ませた。

「おいおい、言っちまったら面白くねーだろうが。着いてからのお楽しみさ」

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