第8章 届かない場所
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「花織」
愛媛に到着して数刻が過ぎた。今はひとまず休憩を取っており、各々がコンビニエンスストアで買い物をしている。花織もその最中であった。流石に買い物は別々で行い、あとで合流しようと風丸と話し合い1人で買い物をしていたのである。会計を済ませ、外で彼を待とうとしていると背後から声が掛けられた。
「鬼道さん……」
声を掛けてきたその人物の名を花織が呼ぶ。鬼道は険しい顔をしていた。きっと影山のことをひとり思い悩んでいたのだろう。鬼道は誰よりも影山との付き合いが長い、そして影山の恐ろしさを誰よりも知っている。
「愛媛にいる間、絶対に一人になるな。常に風丸の傍にいろ……、またお前の身に何か起こるかもしれない」
今になっても花織は春奈と並ぶ鬼道のアキレス腱だ。前回もそれを知られていたから、花織が影山の脅威に晒されたのだ。即ち、影山は今も花織が鬼道にとって大切な人物ということを知っている。花織がまた被害に遭わない保証はない。
「……はい、わかっています。チームの足を引っ張るわけにはいきませんから」
伏し目がちに花織が頷いた。鬼道は頷き、彼女の表情を見つめる。今彼女を守るのは風丸の役目だ。だが、もしもの時はその限りではない。もしも危険が彼女に迫ったら風丸を押しのけてでも鬼道は花織を守る気であった。それほどまでに鬼道は花織への気持ちを未だ持ち続けている。
「!?」
刹那、サッカーボールが視界の端を横切るのを2人とも目で捕えた。そちらの方へ視線を向けると見慣れない少年が円堂にボールを蹴りこんだようであった。どちらともなく円堂の方へ駆けよる。他のメンバーも今の一連の件を目にしていたようで、自然と円堂の周りに全員が集合していた。
「君、真帝国学園の生徒ね。人を偽のメールで呼び出しておいて、今頃現れるの?」