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嫉恋

第8章 届かない場所




色々一悶着あったものの、漫遊寺中の一年生木暮夕弥を新たなメンバーとして迎え入れ、キャラバンは再出発した。監督が漫遊寺の監督に連絡を取ってみたところ木暮の進んだ道なのだからと了解を得られたらしい。選手たちからは非難も挙がったが、何とか収束して現在に至る。

「何だか騒がしくなりそうだね、でもこういうのも面白そう」
「そうだな」

木暮の加入に対して花織がちらりと後ろを振り返りながら零す。風丸も花織の言葉に頷きながら後ろを振り返った。さっきは目金のフィギュアや栗松の雑誌に落書きをしたり、円堂の靴ひもを両足纏めて結んでしまったりと早速悪戯を繰り広げていたが、今は大人しく土門らの横に座っているようだ。見ている分には面白いだろうが自分がターゲットになったら堪らないだろうなと風丸は思う。

その時、甲高い携帯の着信音がキャラバンの中に鳴り響いた。どうやら監督、瞳子の携帯のようだ。監督はその中身を見て一瞬驚いたように目を見開き、響木から届いたというメールを静かに読み上げた。

「影山が脱獄し、愛媛に真帝国学園を築いた」
「!!」

キャラバン内に動揺が走る。影山の悪行を知る選手たち、そしてマネージャーの表情は一瞬で強張った。花織も例外ではなかった、突き落とされるような感覚が背中に一瞬で駆け抜けていく。

「アイツ、まだそんなことやってんのかよ!」
「しかも真帝国学園だって!?」

染岡と土門が苛立ったように叫ぶ。だが、一番動揺しているのは元帝国学園のキャプテン鬼道だった。険しい表情で眉間に皺を寄せている。彼の拳は力の入れ過ぎで震えていた。

「よし!愛媛に向かおう」

円堂が声高に宣言する。他のメンバーもそれに同調した。影山のやることを見過ごしておけない、という口調だ。だが、塔子をはじめとする新参メンバーはどうして影山という人物に対し彼らがこれほどの敵意を向けるのか、理解ができないようであった。

「なあ、影山って中学サッカー協会の副会長だったんだろ?」
「ああ、そして帝国学園の総帥だった。……俺たちのチームの」

塔子の問いに鬼道が憎々しげに言った。影山零治は元々帝国学園の総帥だ、もちろん帝国に所属していた花織も面識がある。
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