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嫉恋

第8章 届かない場所




イプシロン戦の翌日、イナズマキャラバンは京都を出発した。イプシロンに敗北をしたのは事実だが、校舎の破壊もされておらず、怪我人も誰一人いなかったことからあまり損害はなく結果としては上々となっている。

「いやー、なんだかんだ言って木暮って奴は面白かったよなあ」

走行中のキャラバンの中、土門が思い返す様に呟いた。木暮は漫遊寺に滞在中、春奈と仲良くしていたようだが雷門イレブンの見送りには来なかった。結局、雷門中のユニフォームと円堂のサッカー頑張れ、という言葉を残して彼の姿も見ないまま、イナズマキャラバンは出発したのである。

「チームに入れなくて良かったのかな」

花織の隣に座る風丸がその声に触発されてか、ぽつりと呟いた。確かに木暮はイプシロンのボールを止めた唯一の人物。恐らく才能はあるのだから、練習すれば十分に戦力になったはずだ。

「彼、チームにいたらきっと良いディフェンスになったと思う」

くす、と笑って花織が風丸の言葉に同調ともいえない返事を返した。風丸もそうだな、と言いつつ、今更どうしようもないと言いたげな笑みを浮かべた。何しろキャラバンが漫遊寺を出発してもう1時間ほど経つ。

「いやいや、これでいいのです。あんな奴がいたら宇宙人に勝てるものも勝てなくなっちゃいますからね~」
「シビアだね、目金くん」

目金の言葉に一之瀬が突っ込む。木暮のことは完全に良い思い出として終結し始めた。だが話題の終結に申し訳なさそうに壁山が口を挟む。

「あの~、お話し中のところ済みませんが……」

おずおずとした申し訳なさそうな口調にキャラバン内の人間、全員が振り返った。いったい改まって何事だろう。そう思った選手らの眼には衝撃の人物が映った。

「マジかよ!?」

一番近くにいた染岡が吃驚して叫ぶ。何と壁山の隣、山積みになった選手たちの鞄の脇には、三角座りをする木暮の姿があった。
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