第7章 瞳に映る君
花織は風丸がかけてくる惜しみない好意の言葉に、頬を桃色に染めて口籠った。彼は割と花織に対しては躊躇なく愛の言葉を口にしたりする。だが、何度言われたってその言葉は嬉しいし、慣れない。
「言いたくなっただけだ。……花織、俺は確かにお前と走ることは好きだ。でもお前をエイリア学園との戦いに参加させることだけは反対なんだ。たとえ監督命令でも、俺は花織が少しでも傷つくような可能性がある場所にやりたくない」
そう言って風丸が花織の髪に手を伸ばす。優しく髪を撫でながら、穏やかな声で花織に囁いた。
「だから思うんだ、そんなことを気にしないで花織と一緒のチームでサッカーができたらどれだけ楽しいだろうって」
「うん……、きっと凄く楽しいよね。でもすぐにできるようになるよ、エイリア学園を倒したらきっと」
「……そうだな」
一瞬、彼の表情が陰ったような気がした。花織はふっと彼の表情の変化に眉根を寄せたが、何も言わなかった。彼はすぐに優しく花織に笑い掛け、何でもない様に振る舞う。
「じゃあとにかく今日、イプシロンに勝たないとな。……花織」
風丸が花織の方へ身を寄せる。花織は河川敷の坂に背中を付け、半ば寝ころぶような形で彼を見上げた。風丸が花織の身体の横に手をついて、花織の目を見つめる。こんなシチュエーションは何度もあったはずなのに、胸がドキドキして仕方ない。
「絶対一郎太くんなら大丈夫。がんばろうね、一緒に」
そう言って花織が風丸に微笑みそっと目を閉じれば、触れるだけの口づけを落される。さらりと彼の長い髪が花織の頬を撫ぜた。