第7章 瞳に映る君
だが風丸はそんな花織の心配をさらりと流してフィールドへ向かう。そんな彼の返事を嬉しく思いながら花織はボールをベンチに置いて彼の元へ駆けだした。
ランニング、ストレッチから一対一まで。二人で出来ることはすべてやったかもしれない。彼らは久しぶりに二人きりで練習をした。お互いの動きは手に取る様にわかるから、パスは楽に通るし、一対一であれば如何に相手の裏を読むかが楽しかった。今まで勝利を求めるサッカーばかりしていたから、この楽しいだけのサッカーは何となく新鮮なような気がした。
「俺、花織と走るのが好きだ」
練習を終え、キャラバンに戻る前に一休みしてから戻ろうということになった。二人は今、並んで腰掛け、互いに寄り添っている。河川敷に吹く風が爽やかで涼しげだった。そんな中で風丸が花織を見ながら呟く。
「一郎太くん?」
「花織と走るの凄く楽しいんだ。ボールを競り合うのも、肩を並べて走るのも何もかもが楽しい。普段の練習や試合でも本当は一緒に居られたらと思ってるんだ」
柔らかく微笑みながら風丸が素直な気持ちを吐き出す。だがそれは素直な気持ちであるが、正確な本心ではなかった。そんなことはつゆ知らずに花織は黙って風丸の話を聞いている。
「この気持ちは陸上をやってる時から変わらない。お前と離れている間もそうだった。俺はそれだけ花織が好きなんだ」
「……っ、えっと、そう言ってくれると嬉しいけど……。どうしたの急に?」