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嫉恋

第7章 瞳に映る君



***

その日の夜、花織は再びこっそりとテントを抜け出した。が、今日はいつもと違う点があった。寝袋の中に春奈の姿がないのだ。だが、さほど心配ではなかった。きっと鬼道が夕方の花織の相談を受け、何らかの対策をしてくれたのだろうと思っていた。

だからこそ今は、自分にできることをしなければならない。花織はサッカーボールを手に円堂たちが夕方練習をしていた河川敷へと向かう。花織は今、早朝と消灯後に自主練をしていた。皆の練習量が多いからこそ、時間外に練習をしなければ追いつかないのだ。

今更選手として起用なんてされないだろう、とは思うものの、目金が軽いとはいえ捻挫をしてしまった今は自分が出るつもりで対策をしておくべきだと思う。もし仮に試合に出るのだとしたら、自分が穴になってしまうのだけは避けたい。

トップスピードでのドリブルを主に練習していく。本当はディフェンスを避ける練習などもしたいのだが、一人では動かない障害物を避けることくらいしかできないから、今となってはほとんど練習にならない。だとしたら、敵にブロックをされないようなスピードで振り切る練習をした方がマシだ。

「……はっ、はっ」

息を切らせてコートを掛ける。10分ほど、全力でのドリブルを行った後一度足を止め、コート内に立ち止まる。膝に手を置いて大きく深呼吸を繰り返せば、割とすぐに息は整った。練習量は減ったが、あまり体力は落ちていないようだ。

「……?」

静かに息を整えていると、ふと背後から視線を感じた。花織は眉を顰める。今まで全く人の気配なんてなかったのに……。ぞわりと肌が粟立つ。花織は少し躊躇ったが、意を決して後ろを振り返った。

「……こんばんは。月島さん、だったね?」
「貴方は……」

花織の背後に立っていたのは見覚えのある赤髪の少年だった。花織は驚きよりも恐怖を感じて、思わず後ずさる。どうしてこの人物はここにいるのだろうか、先日北海道で会ったばかりだというのに。

「どうして、こんなところに……」

花織が警戒心を露わに少年に尋ねた。少年はふっと笑みを浮かべると、何でもないことのように花織の問いに答える。
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