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嫉恋

第7章 瞳に映る君




鬼道が眉を顰めて花織に問い返す。その表情には何か思うことがあるようだ。花織は頷いて言葉を続ける。

「ええ。話しかけても上の空ですし、何だかぼうっとしているふうで。……何か悩みがあるみたいです。鬼道さんは何かご存知ですか」

花織の言葉に鬼道は俯いた。だがすぐに顔を上げ、花織を見据える。

「……いや。だが、思い当たることはある」
「では、鬼道さんからお話を聞いて頂けませんか?私には、どうも話にくいようで……」

花織が髪を耳に掛け、申し訳なさそうに言う。花織は春奈が一番相談しやすいだろうと感じた人物は実の兄の鬼道だった。逆に鬼道に話せなければそれだけ深刻な悩みだということになる。春奈が鬼道に話すにしろ、話さないにしろ彼に声を掛ければ間違いないだろうと踏んだのだ。

「わかった。知らせてくれてありがとう、花織」
「いいえ、練習の邪魔をしてしまってすみませんでした」

花織がそう笑って鬼道の前から立ち去ろうとすれば、待てと鬼道が花織の手を引く。静かに河川敷に風が吹き、鬼道のマントを、花織の髪を優しく揺らす。こうやって真面目に対面して話をするのは久しぶりのような気がした。何しろ、北海道を出発してから花織は座席を移動し、風丸の隣に掛けているから鬼道と話す機会も減ってしまったのだ。

「……花織」

鬼道が静かに花織の名を呼ぶ。そして少し寂しそうに笑って、花織の目を見据えた。

「最近のお前が楽しそうで何よりだ。……」
「……鬼道さん。……では戻りますね」

花織はもうそこにいられなかった。鬼道の気持ちが未だに自分を大切にしてくれていることが嫌でもわかったからだ。今のうのうと風丸とよりを戻し、よろしくやっている花織に対しても彼は変わらず、以前から持ち続けている想いを持ち続けているようだった。

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